叱るとショボーン…これって反省しているの?

一緒に暮らす犬や猫に関するトレーニングも数多く紹介されています。その中には、鳥さんにも同じことが言えることもたくさんあります。以前、別のブログでご紹介した内容ですが、改めてこちらでもご紹介させていただきます。

「愛犬を叱るとショボーン・・・これって反省しているの?」

(記事の内容を一部抜粋)
帰宅するとゴミが散乱…布をかじってボロボロ…。
愛犬がイタズラをしたら、いけないことだと教えてあげなければいけません。
「ダメ!」と叱った時、しょぼんとしたり小さくなったりして反省しているような態度を取りますが、実はわんこはは反省することはないんです!

しょぼんとしている理由

叱ったときに反省しているような態度を取る理由、それは戸惑っているからです。
人同士であれば、「これはしてはいけないこと」、と言葉で伝えることができますが、犬にはそれができず、犬自身も何のことで怒られているかわかりません。
反省しているように見えていたのは、実は理由がわからず困っているからだったのです。

(残念ながら引用元の記事は削除されてしまったようで全文をご紹介できないのが残念です。)

本当の気持ちとは・・・

上記の記事の中の「犬」の部分を「鳥」に置き換えてみると、共通して言えることだなと感じています。「しょぼんとしている」かどうかは犬にしかわからないので、本当にしょんぼりしているかどうかは断言することはできないと思います。

同じような状況に遭遇した時、鳥さんの飼い主さんにはこんな感情が芽生えることもあるのではないでしょうか。

●何度言っても言うことを聞かない!
●叱ったら、申し訳なさそうな顔をするから、分かってるんだと思います!でも、また同じことを繰り返すから、うちのコ頭が悪いんでしょうか!?
●全く言うことを聞いてくれません。。。叱り方が悪いんでしょうか・・・
などなど。

鳥さんの気持ちに仮説を立ててしまうと、飼い主さんの思い込みやレッテルを鳥さんに押し付けてしまう恐れがあります。この結果、関係性がさらにこんがらがってしまう可能性も。何度も繰り返しますが、本当の気持ちは鳥さんにしかわかりません。そこで、応用行動分析学のフィルターを通して観察することによって、鳥さんの本当の気持ちに近づけることができると言われています。

上記の飼い主さんの言葉に対して、鳥さんの言い分とは・・・

飼い主さんの言い分
飼い主さんの言い分

何度言っても言うことを聞かない!

鳥さんの言い分
鳥さんの言い分

人と鳥は共通の言語を持っていないから、言葉で伝えたとしても通じないよ。鳥に適切に通じるように伝える方法がポジティブレインフォースメント(正の強化)トレーニングだって、トレーナーが言ってたよ。

飼い主さんの言い分
飼い主さんの言い分

叱ったら、申し訳なさそうな顔をするから、自分が悪いことをしたということは分かってるんだと思います!でも、また同じことを繰り返す…うちのコ頭が悪いんでしょうか!?

鳥さんの言い分
鳥さんの言い分

ボクたちの気持ち、なかなか伝わらないなぁ。「ダメ!」「こらっ!」なんて大きな声を出されたらびっくりしちゃのは確かかな。で、戸惑っちゃう。そして、その後に何やらたくさん話しかけてもらうこともある(実際は長々とお説教されている)から「たくさん話しかけてもらってる♪こうすればいいのか!」と思って喜びに打ち震えちゃうな。
そもそも適切に伝わっていないのに、一方的に「頭が悪い」だなんて!心外だなぁ!

飼い主さんの言い分
飼い主さんの言い分

全く言うことを聞いてくれません…。叱り方が悪いんでしょうか…。

鳥さんの言い分
鳥さんの言い分

ボクたちは、飼い主さんの反応を観察して、いかに反応を引き出して注目を集めるかに全振りしているといってもいいかも。結果的に、ボクたちにとってメリットがあることを繰り返すよ。メリットがないことやまどろっこしいことはやらない(*)。「叱り方」に焦点を当てるのではなく、どんどん褒めてほしいな。飼い主さんが思う望ましい行動をとった時に褒めてくれてる?やっちゃいけない時ばかり声をかけられると勘違いしちゃうなぁ。

*うちのコ!まどろっこしいことやってる!と思われる鳥さんの行動も、実は鳥さんにとってはメリットと受け止められているからこそ、繰り返し対象の行動が出現していると言えます。

鳥さんに適切に伝えるには?伝わっているかの判断基準とは?

鳥さんに限らず、犬も、
『過去の結果(経験)が未来の行動を形作る』
というのが、応用行動分析学の考えです。

鳥さんのその場の表情や行動で判断するのではなく、対象となる行動の出現率で、適切に伝わっている、伝わっていない、ということが判断できます。
例を挙げますと、咬んだ後に「こらっ!」と大声を出した後に、鳥さんが「申し訳ないことをしてしまった!」(という風に見える)表情をして一時的に咬まなくなったとしても、この後、咬むという行動の出現率が減少しなかったら、残念ながら「飼い主さんの咬まないでほしい」という気持ちは、この方法では鳥さんに適切に伝わっていないという判断ができると言えます。

鳥さんは頭がいい生き物だと常々感じています。
望ましくない行動を学習できるのであれば、望ましい行動も学習できるはずです。
(本鳥は「問題行動」だなんて思っていません。)
例えば、咬みつき改善のトレーニングを始めて、1~2週間ほどで少しでも改善が観られたのであれば、飼い主さんの取り組みは適切に伝えられていると判断でき、そのまま継続してもOKです。
反対に、1~2週間経過しても全く変化が現れない!という場合は、アプローチ法の見直しが必要です。なぜなら、このくらいの期間で行動に少しでも変化が現れていないということは、鳥さんに適切に伝えられていない可能性があるからです。適切に伝えられない方法を、これから何カ月も、何年も継続したところで改善は望めないと思っています。
※咬みつきが1~2週間で改善できるという意味ではありません。トレーニングを開始して最初の1~2週間で行動に大なり小なりの変化が現れてきます。この後、トレーニングを継続していくことで、行動が定着していきます。

飼い主さんが困っている時、その時鳥さんも

冒頭でご紹介した記事は犬に関する内容ですが、記事の最後はこのような言葉が…
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犬の躾は言葉が通じない分、困っている飼い主さんが多いはずです。
しかし飼い主以上に、犬も困っています。
何に対して怒られているのか、何が正解なのかを必死に犬たちは考えているので、飼い主さんはそれに答えるような躾をしなければいけません。

愛犬と向き合いながらお互い学んでいきましょう。
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(鳥さんの飼い主さんにとっては、「躾」の言葉にひっかかってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが)

言葉が通じない分、鳥さんに適切に伝える方法があります。それは、罰ではなく、褒めて伸ばす方法です。「愛鳥さんと向き合いながらお互い学んでいく」ことが大切なのですね。

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