鳥さんのための『動きやすさ』vs『敢えての動きにくさ』

こんにちは!BBTバードトレーナーの柴田です。

このブログもいろいろな人が登場するようになっているので初めて名乗らせていただきました。

Twitter(X)で、時々鳥さん個別相談のご紹介をさせていただいています。
ほとんどオンラインのご相談となりますが、ご相談時は話に夢中になり写真を撮らせていただくことを忘れてしまうことが多々あります。今回も後になって、「あ~写真・・・」と撮り損なっているパターンでした。

いつもならそこで終わっているところでしたが、「様子が見たいです!」というお声をいただいたことで、飼い主さんにお願いして画像を送っていただきました。

鳥さんのケージ内やケージ周りの環境に関することもご紹介しながら、飼い主さんに送っていただいたケージ周りの工夫をご紹介させていただきます。

『動きやすさ』は鳥さんのためになっている?

ケージの中にエサ入れを設置する時に、どこに設置していますか。

ケージ付属のエサ入れを使っている方は、ケージの前面になるかと思います。

ケージ付属ではないエサ入れを使う場合、止まり木のそばに設置している方が多いのではないでしょうか。

その理由は、鳥さんが食べやすいようにという感じでしょうか。

特に問題があるという訳ではありません。
でも、少し考えていただきたい点があります。
ケージの中で過ごす時間が多い鳥さんにとって、ほんの少しの工夫で動く動機づけが与えられます。

エサ入れを止まり木のそばに設置する

敢えて、止まり木から離れたところにエサ入れを設置する

どちらが鳥さんに動きが生まれるでしょうか。

ほんの少しでも動きが生まれるのは、止まり木から遠い位置の方ではないでしょうか。

『動きにくさ』の効果とは?

飼い主さん
飼い主さん

ケージの中を動きにくく??

鳥さんかわいそう・・・

いじわるをするために動きにくくしましょうという意味では決してありません!

一日の多くの時間をケージで過ごす鳥さんにとって、ケージの中でも少しでも動いてもらえるような工夫が「動きにくさ」の目的です。

止まり木の位置

身体的や体調的に問題がないようでしたら、ケージの中のレイアウトを動きやすいようにと止まり木の位置もミリ単位で調整する必要はないと考えています。

「ヨイショ!ヨイショ!」と動いてもらったり

「足場をどうしよう!」

「次はどう動こう??」とクチバシと足を駆使してケージ内を移動してもらえるように、思考する機会を与えてあげることをお勧めしています。

おもちゃを取り付ける位置

鳥さんが動く動線上に敢えて吊るしておくだけでも、「もう!じゃまだなー!」と思ってもらうだけでも思考の刺激になります。

これらは、健康で食欲がある鳥さんに対するアプローチ法です。

鳥さんによっては、『動きやすさ』を気にかけてあげ必要があります。

鳥さんのために敢えて『動きにくさ』を演出してあげるのも鳥さんに対する思いやりではないかなと思います。

鳥さんの状態に合わせたレイアウトを

ケージの中や外のレイアウトは、ぜひ鳥さんの体調や体の状態に合わせて、「動きやすさ」「動きにくさ」を調整していただけたらと思います。

「動きにくさ」のレイアウトを検討できる鳥さん

元気で食欲がある鳥さんの場合、ケージの中で少しでも動いてもらうように『動きにくさ』をテーマに検討していただくようにしています。

「動きやすさ」の配慮が必要な鳥さん

『動きやすさ』に配慮してあげる必要がある鳥さんは次のとおりです。

  1. 環境に慣れていない鳥さん(お迎え間もない・引っ越したばかりなど)
  2. 食欲が落ちてる鳥さん⇒食べやすいように止まり木のすぐそばに、あるいは、よくいる場所のすぐそばにエサ入れや水入れを設置してあげる。
  3. 体調がすぐれない鳥さん
  4. 怖がりな鳥さん
  5. ケージから出ることを躊躇している鳥さん(ケージの外のレイアウトに配慮)
  6. 老鳥さんやケージ生活になったばかりの幼鳥さん

これらの鳥さんの場合は、『動きやすさ』に配慮してあげる必要があります。

コザクラインコのぴけちゃんの場合

今回、ご相談をご利用いただいたコザクラインコのぴけちゃん。

ご相談内容(抜粋)は次の通りでした。

  • 日中起きていても定位置からあまり動かない。
  • ケージの外から指でおやつを差し出しても受け取ってくれない。
  • ケージの外には出たがらない。ケージの出入り口から20センチほどの距離ならゴハンがあれば出てきてくれる時がある。

飼い主さんとしては、

飼い主さん
飼い主さん

本鳥が今の生活に満足しているのなら、特別人に慣れてほしいとは望まない。ただ、今より怖い思いをさせず幸せに暮らしてもらえるように、飼い主側で改善できることがあれば頑張りたい。

という思いからご相談をご利用くださいました。

飼い主さんの思いに応えたいと思い、ぴけちゃんの様子を見ながら方法をご提案させていただきました。

この場合、鳥さんにとってケージ内と外(出入口部分)に「動きやすさ」をテーマにご提案しました。

初回ご相談から2か月後、飼い主さんの工夫

出入口付近のアクセスを改善
⇒移動がスムーズになり、今では出入口付近のTパーチから手に移ってゴハンを食べられるにようになった。

ケージから出て直線2mくらいの範囲だったら出てこられるようになった

その工夫はこんな感じです↓

ぴけちゃんが移動しやすく・動きやすいようにとご提案はしましたが、まさかここまでの力作になるとは!

ここを移動できるぴけちゃんは、もはや怖がり屋さんとは言えないのではないでしょうか。

本当にすばらしいです!

飼い主さんからの補足説明をご紹介させていただきます。

〇怖がりで慎重なぴけですが、歩きでしたらケージ外まで出てきてくれるため、結果的にこのような道のりを作るに至りました。このコース通りに散歩した後は必ずまっすぐ帰ります。

〇気を付けたところ:

・何箇所かペットボトルキャップを配置して、ご飯を入れる

・滑らないための工夫(階段などに布やフェルトを敷くなど)

・足や嘴が届かないような隙間や、大きい段差を怖がるため(絶対に飛ぼうとしません)足場や階段、梯子を付ける

〇主に100均で買えるものを組み合わせてコースを作っていますが、あくまで慣れてもらうまでの仮設としていますのでいずれ少しずつ撤去する予定です。

〇ゴール地点には水浴び用のお皿を置いています。

〇ケージ外の散歩中はそばで飼い主が見守っています。

まとめ

怖がり屋さんや臆病な鳥さんは多いと思います。

ケージから出る・出ないも鳥さんの自由であり、選択だと思います。
なので、その日の気分で出ない日があってもいいのではないかなと思っています。

それでも、鳥さんが行動を起こそうとする時に「怖い!」「得たいが知れない!」存在があって、これが鳥さんの行動を妨げているのであれば、それに気付いてあげられるといいなと思っています。

鳥さんを怖がらせないようにするために、怖がる存在を撤去するのにも限界があると思います。そのような環境をこれから先ずっと提供し続けられるかどうかもわからないと考えます。

そうであれば、鳥さんの方も少しずつでいいのでできるところから克服できるような機会を意識的に作ってあげることで、鳥さんにとって過ごしやすくなるのではないかなと考えています。

合言葉にしているのは、「ちょっとやそっとのことじゃ動じない、心も身体も強い鳥さん」です。

ご参考にしていただけましたらうれしいです。

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