ウロコインコ/咬みつき改善・手にステップアップ・コミュニケーション

鳥さん個別相談〈オンライン〉に、切実なお問い合わせが。

まもなく、2才になるウロコインコです。
お迎えした時は、羽をカットされていて1年以上飛べなかったんですが、少しずつ練習して今では飛べるようになりました。
臆病な性格で咬み癖があり、毎日流血していました…。
今では飛べるようになり(自信をつけたこともあるのか)、指を齧られることはほぼなくなりました。でも、ケージに戻そうとしても飛んでなかなか戻せなく一苦労しています。
鳥さんの気持ちが全く読み取れず、悩んでいます。

以上がお問い合わせのメール内容です。
メールからは、飼い主さんの悩ましさや何とかしたい!という気持ちが伝わってくるようでした。ご相談時に、より詳しい状況をさらにヒアリングさせていただきながら、行動の処方箋としてご提案をしていくことに。

ご相談時の様子

ご相談のお申込みからご相談当日までに、飼い主さんによっていろいろと試していただいたおかげで、かなりいい関係性になっていると感じました。
一時期、咬まれることは少なくなったとおっしゃっていましたが、また再熱してきたかもしれないとのことでした。
まずは、鳥さんがケージの中にいる状態で、ケージ越しでご褒美をあげていただき、ご褒美に対する反応を確認して、ご褒美として使う食べ物を選定しました。

ご褒美として使う食べ物を決めたら、この食べ物は普段のエサ入れには入れないようにします。
こうすることで、ご褒美の価値を高めます。
シードとしてミックスされている場合は、ご褒美となるシードは抜いておく必要があります。ミックスシードの場合、ご褒美となるシードを抜く作業が大変になるため、次回、シードを購入する場合は、対象のシードが入っていないタイプのものを選ぶと、選り分け作業は発生せずに済みます。

目標と行動の処方箋(抜粋)

目標1 手は怖くない!いいことが起こる存在!と認識してもらう

[方法] 簡単なおいでを練習。ケージの中でできるようであれば、ケージの外で。
ポイントは、ご褒美を差し出したら差し出した手や指は固定する。動かさない。
差し出す位置は、鳥さんのクチバシに持っていくというよりも、鳥さんが自らクチバシを伸ばして受け取りにきてくれる位置にする。差し出す場所を間違った!と感じても、とりあえず手は動かさない。10秒程度待っても受け取りにきてくれなかったら一旦ご褒美を引く。5秒ほどして改めてご褒美を差し出す。この時に位置を調整する。
合計3回ほど試してもご褒美を受け取りにきてくれなかったら、セッションは一旦終了。また時間をおいて再トライ。

ポイント
  • 鳥さんの方から受け取りに来てもらうという点が大切で、鳥さんがあっちこっちに動き回っている場合、鳥さんの動きに合わせてご褒美を差し出す位置もあっちこっちに変えないようにします。
  • ご褒美を差し出す位置は、クチバシにご褒美を持っていかないようにしますが、あまりにもクチバシから離れてしまうとハードルが上がり過ぎて、鳥さんは受け取るために近づいてきてくれない場合もあります。この場合、差し出す位置を修正します。クチバシから「少し」離れた位置とは、2~3mm程度の距離が最適な場合もありますし、5㎜離れてもOKの鳥さんもいます。鳥さんに合わせて位置を探り、細かいステップを踏む必要がある場合もあります。
    ※ 鳥さんのスタート地点が、手からご褒美を受け取ってくれる段階にない鳥さんの場合は、さらに細かいステップが必要となります。ここではご説明は割愛させていただき、別の記事にてご紹介させていただきます。

目標2 ステップアップできるようになってもらう

[方法] 目標1がスムーズにできるようになったら、ステップアップしてもらいたい手(あるいは腕部分)を差し出していきます。
ステップアップしてもらいたい手(以後、便宜上「左手」といいます。もちろん右手を使っても大丈夫です。)は、鳥さんの前に持っていかないようにします。

左手を差し出した時に、鳥さんが後ずさりしたり、逃げる場合、後ずさりしない・逃げない位置を探り、これがスタート地点となります。
ご褒美(この場合右手で持つ)を先に見せて左手をあとから近づけます。
ご相談のウロコインコさんの場合、画像のAの位置に左手を差し出すとササッと逃げていました。でも、B(右手のご褒美も同じBの地点)に差し出すと逃げなかったので、このBをスタート地点としてステップアップの練習をしていただくことにしました。ご相談時は、鳥さんはプレイジムの止まり木にとまっていることが多かったので、ここでトライしていただきましたが、机の上でもケージの上でもどこでも大丈夫です。
ただし、方法は同じです。



また、ステップアップをする時のご褒美の位置としては、鳥さんの目線と同じ高さ(①)に差し出すよりも、鳥さんが斜め上を向くくらいの位置(②)の方が、足が左手にかかりやすくなるようです。①ですと、鳥さんの首は思いのほか伸びるので、ご褒美を差し出す位置を調整するのに時間がかかる場合があります。これは、体重計(キッチンスケール)にのるトレーニングをする場合も同様です。

ポイント
  • この時も、手にステップアップしてもらいたい一心で、鳥さんがご褒美を受け取りそうになったらご褒美をすっと引いておあずけ状態にしないようにすることが大切です。おあずけ状態が続くと、「どうせそれくれないんでしょ!もうやらない!」と、鳥さんからの協力が得られなくなってしまいます。
  • この時も、手にステップアップしてもらいたい一心で、鳥さんがご褒美を受け取りそうになったらご褒美をすっと引いておあずけ状態にしないようにすることが大切です。おあずけ状態が続くと、「どうせそれくれないんでしょ!もうやらない!」と、鳥さんからの協力が得られなくなってしまいます。ご褒美を差し出す位置を間違えた!と思っても、一旦差し出したらそこをゴールとして手は動かさない、鳥さんが受け取ってくれたら、次の位置で調整します。

*スタート地点が、手からご褒美を受け取ってくれる段階にない鳥さんの場合は、さらに細かいステップが必要となります。ここではご説明は割愛させていただき、別の記事にてご紹介させていただきます。

今回は、以上となります。

ご相談後に、飼い主さんからのご報告をいただきました。鳥さんに合わせて少し待つことを意識してみたところ、なんとご相談当日にはすんなり手にのってくれたそうです。飼い主さんのこれまでの取り組みがあったからこそ、鳥さんとしては、きっかけを待っていたのかもしれないなと感じました。
少しでもお役立ていただけましたらうれしいです。

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