人によって鳥さんの態度が豹変 vol.6

手からご褒美を受け取ってくれないけどケージのそばに人がいるのはOK!

vol.5では、ケージのそばに人がいても怖がらずにエサを食べてくれるようになるまでのトレーニング法をご紹介しました。
今回は、ケージ越しに手からご褒美を受け取ってくれるまでをご紹介いたします。

このご紹介にうってつけになるのが、「インコ&オウムの困ったお悩み解決帖」(大泉書店)の時に撮影にご協力いただいたオカメインコのオザ兵長さんの様子です。

過去に、自分の鳥さん(オカメインコ)をモデルにトレーニングの紹介をしていた時期がありましたが、「トレーナーの鳥だからできるんでしょ!」というお言葉を聞いて、だったら自分の鳥は二度と登場させないぞ!登場させるならガチのご相談を受けてくださった鳥さんたちにお願いする!ことに決めました。こうすることで、本当にこのトレーニング法は鳥さんに伝わるんだということが分かっていただけるといいなと思っています。なので、飼い主さんに依頼する時間の余裕がなかった時を除いて、これまでの本や雑誌の監修に携わった時は全て、ご相談をご利用いただいた鳥さんや飼い主さんにご協力いただいています。

事例の一つとして、「基本のトレーニングのやり方」の章に登場していただいたのがオザ兵長さんでした。撮影は飼い主さんにご協力していただき、私(=トレーナー)はオザ兵長さんに会うのは撮影当日が初めてでした。飼い主さん曰く「女性よりも男性が好きで、かなり手ごわいと思う…」というのが事前の情報でした。本に掲載できた画像はほんの一部ですが、こちらで撮影の舞台裏をご紹介させていただきます。
ガチのトレーニングの様子をどうぞ!

やはりスタートラインを探るところから

私がケージのそばに近づいても怖がる様子はなかったので、まずはケージ越しにご褒美を受け取ってくれるかどうかを探ってみました。

ご褒美は、オザ兵長さんが大好きだという粟穂を使いました。

1.めっちゃ無視されてますね(笑)
 ご褒美を差し出す時は手は動かしません。差し出したところで固定します。そして、粘りません。10秒ほど待ってもオザ兵長さんが近づいてきてくれなかったり、動いてくれなかったら一旦手を引きます。そして、もう一度ご褒美を差し出してみます。

2.ここまでは近づいてきてくれました。頑張りました!ここがスタートラインということになります。冠羽の立ち具合で、オザ兵長さんの気持ちが伝わってくるようですね。

ケージ越しでご褒美を受け取ってくれるまでの様子

3.2でご褒美を受け取ってくれなかったので、エサ入れにご褒美を入れます。
 画像ではエサ入れの扉を開けていますが、ケージバーの隙間から入れてももちろんOKです。ご褒美を入れた後は、ケージから少し距離をあけて待機しています。

4.ご褒美をエサ入れに入れて私が少し離れた途端、サッと食べに来てくれました。その動きの速さから、ご褒美は粟穂が適当だということが分かりました。

5.改めてケージ越しで、粟穂を差し出してみます。はい、動きません。

6.粟穂をケージバーに挟めた状態で少し離れてみました。すると、食べに来てくれましたね。でも、へっぴり腰です。

7.粟穂はケージバーに挟んだままにして、指を粟穂に少しずつ近づけていく様子。指を近づけても粟穂を食べ続けてくれるスピードで近づけていきます。指を粟穂に近づけていく内に、食べるのを止めてサッと粟穂から離れてしまったら、その指と粟穂の距離がその時の鳥さんにとっての限界ということが分かります。

8.粟穂に触っても食べ続けてくれています。へっぴり腰ですが。

9.さらに指で粟穂を軽く持ってみても食べ続けてくれています。相変わらずへっぴり腰です。

10.ケージバーに挟んでいる状態から、指で粟穂を持っています。へっぴり腰は継続中。

11.敢えて一度、ケージから粟穂を離してみます。

12.そして、もう一度近づけると手からご褒美を食べてくれました。へっぴり腰。

13.11と12を繰り返していくと、へっぴり腰が解消してきたのがお分かりになりますでしょうか。そして、粟穂のサイズが変わったのにお気づきでしょうか。最初は大きめでしたが、この画像↓はひと房になっています。このくらいのサイズでも躊躇せず、受け取ってくれるのはオザ兵長さん側としては警戒心がだいぶとけているのではないかなと思われます。

14.さらに、違うところから粟穂を差し出してもちゃんと追ってきてくれるようになりました。素晴らしい!
この時に受け取りに近づいてきてくれなかったら、一旦手とご褒美を引いて、2回ほど試してみます。それでも近づいてきてくれなかったら、一旦「13」に戻ります。

15.左右の動きが問題なくできるようになったら、少しハードルを上げて、上下の動きもしてくれるかどうか…。

16.おー!ちゃんと来てくれましたね!ここまでくるとかなりいい感じです。
この位置まで受け取りに来てくれなかったら、鳥さんから見たら一気にハードルが上がっている(粟穂までの距離が遠すぎる)可能性も考えられるので、ご褒美を差し出す位置を少し鳥さん側に近づけてみます。

17.さらに前後・左右・上下の動きができるかな?
ここまでの動きは、ケージの中で簡単なおいでトレーニングにもなります。

18.ケージ越しではバッチリだったので、次のステップとしてケージから出てきてもらうことに。
さぁ、お願いします!

19.よいしょよいしょ…

20.シュバッと撮影をしていただいていた飼い主さんのもとに飛んで行ってしまいました(笑) 想定内です。

オザ兵長さんの事例はあくまでもご参考にしていただき、ご自身の鳥さんに合わせて、鳥さんのペースで少しずつ試していただけたらと思います。場合によっては、数日に分けてトライしていただく場合もあるかと思います。

『【ゴール②】ケージ越しでご褒美を手から受け取ってくれるようになってもらう方法』は、とりあえず達成です。

この場をお借りして、改めまして「インコ&オウムの困ったお悩み解決帖」は、オザ兵長さん飼い主さんをはじめ、イラストを描いてくださったこまつか苗さんのご協力、そして、これまでご相談をご利用いただいた鳥さんたちと飼い主さんたちに支えられて完成できたとつくづく感謝しています。

今回はここまでです。

次回vol.7は、『【最終のゴール】手から直接食べ物を受け取ってくれる(さらにこの先にステップアップできるようになるなど)』をご紹介していきたいと思います。

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