人によって鳥さんの態度が豹変 vol.3

オンリーワンにさせないためのアプローチ

今回から、少しずつ具体的な方法をご紹介していきたいと思います。
ところで「オンリーワン」の定義が実は曖昧だったりするので、ここで使う「オンリーワン」の定義を整理したいと思います。もしかしたら、みなさんの認識とは違う部分があるかもしれませんが、ここでご紹介する方法の中で使う認識としてご理解いただけたらと思います。

『オンリーワン』とは・・・
●特定の人にしか鳥さんが懐いていない状態。
●この特定の人以外には、手や体にものらない。
●特定の人がいないとエサも食べなくなってしまったり、ずっと呼び鳴きをする。

以上がここで言うところの「オンリーワン」の鳥さんの状態だとさせていただきます。
vol.1でも書かせていただきましたが、なぜオンリーワンの状態になるのを避けた方がいいのでしょうか。それは万が一、オンリーワンの人が何らかの事情で鳥さんのお世話ができなくなってしまった場合、鳥さんにはかなりの負担となってしまうからです。実際に、オンリーワンの人がいなくなって、自咬を始めたり、雄たけびを上げ続ける鳥さんにも出会ってきました。残された家族はこの状況をどうすることもできずに手放すしかないという結果に至ることもありました。さらには、新たな飼い主さんと出会ったからといって、鳥さんの苦悩は続きます。これは新しい飼い主さんもしかりです。
いざという時に鳥さんの負担を減らすことを目的として、また他のご家族も問題なくお世話ができる状態にしてあげられると理想的です。また、一人暮らしの方は、他の人にも会う機会を積極的に作っていただくことで、万が一の時に備えられるといいなと思っています。まだまだ人と会うのは厳しい状況が続きますが、せめてオンライン上でも他の人の存在や声に触れるだけでも、鳥さんにはいい刺激になるようです。

それでは、vol.1でご紹介したチェック項目を振り返ってみましょう。
下記画像を基に、鳥さんによくなつかれているのが女性、触ろうとすると威嚇されるのが男性とします。
また、下記⑰~⑳の状況下でも鳥さんの行動が変わる時がありますが、状況説明が文字では難しい(単に表現力・語彙力不足です、すみません…)ので、割愛させていただきます。
⑰女性と男性が同じ空間にいる時にあてはまるのは①~⑯の内どの状況になるか?
⑱女性との放鳥中に途中から男性が部屋に入ってくると①~⑫の内どの状況になるか。
⑲放鳥中に、女性と男性が最初から同じ空間にいると①~⑫の内どの状況になるか。
⑳男性と鳥さんが1対1の空間の時にあてはまるのは①~⑯の内どの状況になるか。

〈鳥さん vs 男性の関係性〉

①男性にも、鳥さんの気分によっては手にのったり、カキカキを許す時もある。
②男性の手にはのるけど、カキカキは許さない。
③男性の手にはのらないけど、男性の体の一部(肩や頭)にはとまることもある。
④男性の手から直接ご褒美を受け取ってくれる。
⑤ご褒美をあげようとする男性の指を咬む。
⑥放鳥中に男性に近づいてくる(攻撃を目的としていない)。でも手にはのらない。
⑦男性に対して攻撃的、咬もうとする、もう咬む。
⑧男性が特定の行動(横になる、電話をするなど)をしたら攻撃的になる。
⑨女性の体にとまっている時に男性が手を出すと威嚇するけど、これ以外の時は威嚇しない。
⑩女性の体にとまっている時に、男性はそのすぐそばに座っても攻撃しない。
⑪女性の体に止まっている時に、男性はそのすぐそばに座ろうとすると威嚇・攻撃する。
⑫女性の体にとまっている時に男性が手を出すと威嚇しないけど、手にのってこない。
⑬ケージ越しなら男性のカキカキを受け入れてくれる。
⑭ケージ越しなら男性からご褒美を指から受け取ってくれる。
⑮ケージに男性が近づいてきても怖がらない、逃げない、でも近づいても来ない。
⑯ケージに男性が近づいてきたら攻撃的な行動を示す。
⑰女性と男性が同じ空間にいる時にあてはまるのは①~⑯の内どの状況になるか?
⑱女性との放鳥中に途中から男性が部屋に入ってくると①~⑫の内どの状況になるか。
⑲放鳥中に、女性と男性が最初から同じ空間にいると①~⑫の内どの状況になるか。
⑳男性と鳥さんが1対1の空間の時にあてはまるのは①~⑯の内どの状況になるか。

上記チェック項目の中で、このままの関係性でもオンリーワンにならないと思われるものは、次の通りです。ただし、男性の介入頻度が下がるとオンリーワンになってしまう可能性もあると考えられます。

現状の関係性を継続できれば、オンリーワンにならないと思われる項目

①男性にも、鳥さんの気分によっては手にのったり、カキカキを許す時もある。
②男性の手にはのるけど、カキカキは許さない。
③男性の手にはのらないけど、男性の体の一部(肩や頭)にはとまることもある。
④男性の手から直接ご褒美を受け取ってくれる。
⑤ご褒美をあげようとする男性の指を咬む。
⑥放鳥中に男性に近づいてくる(攻撃を目的としていない)。でも手にはのらない。
⑩女性の体にとまっている時に、男性はそのすぐそばに座っても攻撃しない。
⑬ケージ越しなら男性のカキカキを受け入れてくれる。
⑭ケージ越しなら男性からご褒美を指から受け取ってくれる。

⑤が微妙だと感じる方もいるかもしれません。ご褒美を持っている指を咬みますが、受け取りには近付いてきてくれるという見方ができるのでこのグループに入れました。そして、⑤については、ちょっとしたトレーニングで改善できることがほとんどだと考えています。

⑤「放鳥状態」でご褒美をあげようとする指を咬まずに受け取ってくれるようにする方法

この方法は、通常の咬みつき改善でも用いることができます。
⑤の状況説明が抜けていますが、⑬にケージ越しでは受け取ってくれる項目があるので、「放鳥中」にご褒美をあげようとすると指を咬むという状況です。
ケージ越しでも指を攻撃する・指を咬む場合は、まずはケージ越しで取り組んでいく必要がありますが、今回は、前提としてケージ越しであればご褒美を受け取ってくれるけど、放鳥している状態だと指を咬む場合の方法です。

コザクラインコさんがちょうどこのトレーニング(指を咬まずにご褒美を受け取るトレーニング)をしている動画がありますので、こちらを使ってご紹介します。以前、Twitterでもご紹介したものです。
こちらのコザクラインコさんは、馴れない・咬みつくという理由から手放されてしまい、今の飼い主さんにお迎えされました。まずはケージ越しでご褒美を指から受け取ってもらうところからスタートしました。この過程も、何度も指を咬まれる経験をしてきた怖い飼い主さんにとってはケージ越しであっても指からご褒美をあげることはなかなかのハードルだったので、
1)小さなマドラーを使って、ケージの隙間からご褒美を渡す。
2)マドラーを持つ手を少しずつマドラーの先(ご褒美の方)に近づける。攻撃的だったらご褒美なし。攻撃的でなければご褒美を渡す。
3)マドラーから指に切り替えて、2)と同じルールで繰り返しトレーニング。
そして、今ではケージ越しではなく直接ご褒美を受け取ってくれるまでになりました。
下記画像は、対面のご相談をご利用いただいた時のものです。まず最初に私が指から直接ご褒美を渡す様子をお見せすると、飼い主さんは「よしやってみます!」と頑張って一歩を踏み出してくださった結果、飼い主さんの自信にもつながったようです。

机の縁を利用したり、ケージの上や止まり木スタンドを利用してトレーニングする場合もあります。
それでも人側に恐怖心がある場合は、スプーンを使って渡すところからスタートする方法もあります。ただし、スプーン自体を鳥さんが警戒したり、怖がっていない状況であればスプーンを利用できます。スプーンを怖がる場合は、まずはスプーンに慣れてもらうところからスタートします。

そして、動画です↓

今回はここまでです。

次回vol.4は、上記イラストで男性の立場の人の介入頻度が下がってしまうと、鳥さんをオンリーワンにさせてしまう項目をピックアップして、その対策をご紹介していきたいと思います。

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