(2019年1月5日 Allopreenのブログからお引越し)
Pamela Clarkさん(獣医師、行動コンサルタント)が2週間に1回発行しているニュースレターの翻訳をさせていただいています。
アメリカでのやり方が100%正しいと言うことではないと思っています。記事を通じて、各ご家庭での環境や生活リズムの中で、様々な性格の鳥さんたちにとって何が最適な暮らしでありどうやったら鳥さんのQOL(生活の質)をあげられるのかのご参考にしていただきながら各ご家庭で応用していただけましたら幸いです。
この記事を読まれた後に「鳥さんの雄叫びに関して細く:ご相談事例をヒントに」もご参考にご一読をお願いします。
Pamela Clarkさんのホームページ
『クイックガイド:鳥の雄叫び問題を上手に解決』 2018.8.15
8月の時期に受ける電話は何かのきざしで、私たちはそれを全国鳥の雄叫び月間と命名することができるかもしれません。非常に騒々しい鳥と一緒に暮らしている人が多くいると思います。絶望しないでください!これは実際には、適切に対応することができれば、解決するのはかなり簡単な問題なのです
行動には機能を伴う

一つ目のステップは、あなたの鳥が雄叫びをあげる理由を知ることです。行動には機能が伴います。もし鳥が雄叫びを上げることによって何かしら鳥の思い通りにならなければ、雄叫びを上げる行動は継続しないでしょう。自分自身に問いかけてみてください。「何が強化子となってそんなふうに大騒ぎさせているのか?目的は何なのか?」
多くの鳥たちは、一緒の家にいる人や仲間との交流の一環として鳴き声をあげます。鳥が雄叫びをあげた時に、あなた、あるいは他の誰かがある方法で反応をしていませんか。たとえあなたが部屋を出て行ったり、ケージにカバーを掛けたり鳥に水を吹きかけたりしているとしても、鳥の望ましくない行動に対して注目を向けているということになります。あなたは何かしらの方法で反応しているのです。信じてほしいのは、コンパニオンバードの多くはただ退屈で仕方がないので、たとえ鳥が少しばかり嫌悪感を感じたとしても、そのような対応は鳥の行動に歯止めをかけることはできません。代わりに報酬になる場合もあります。せいぜい、短期的には効果があるかもしれませんが、これから先の解決策にはなりません。考えてもみてください。ケージにカバーをかけることが効果的だとしたら、あなたはこの記事を読んでいないはずです。
雄叫びをあげる他の理由
ある鳥はあなたに何らかの危険を知らせるために音を出します。あなたの鳥は今、窓の外が見えた時により叫びますか?家の外の歩道からの音が聞こえると叫びますか?この種の雄叫びだとすると、生まれつき備わっている身を守るための行動だと言えます。鳥は警告音を出しているのです!このことについては、環境を変えることが答えとなるでしょう。
ある鳥は、ガレージのドアが開き、他の家族が帰宅する時など、予測可能な時間に叫ぶ鳥もいます。おそらく、あなたが電話で会話している時に雄叫びを上げたりしませんか。あなたがこれらを予測できるのであれば防ぐことができるでしょう。

また、家族によって作られた騒音に対して反応する鳥もいます。家族の中で声の大きな人がいたら、鳥も大きい声を出すようになるでしょう。鳥は家族の一員として調和しようとしているだけなのです。あなたが静かになれば、鳥もそうするかもしれません。
そして、ある鳥種は他の種よりも鳴き声が大きい傾向にあります。
コガネメキシコを飼っている飼い主さんは賛同するでしょう。たとえあなたが地球上で最も声が大きい鳥種の内の一羽を選んだとしても、静かな暮らしを楽しむことはできるでしょう。
“鳥はあなたが作り上げるもの”
二つ目のステップは、あなたにはパワーがあるということを認識することです。あなたの反応を通じて、鳥の選択に影響を与える力を持っているのです。あなたの注意を引くために鳥が叫んでいるなら、あなたが鳥に注意を払う行動をもう少し賢く選ぶようにすればいいのです。

以前、私はカリフォルニア州サマーランドで、鳥の動物園を所有しているJamie McLeodから一連の鳥のお世話に関するレッスンを受けました。ある日彼女は「鳥はあなたが作り上げるもの」と言いました。それは真実だと思います。もし大きい声の鳥をお望みなら、鳥が騒いでいる時に注目を注いでください。おもちゃで遊ぶ鳥になってほしければ、おもちゃで遊んでいる時に注目を注いであげてください。おしゃべりな鳥になってほしければ、鳥がおしゃべりをしている時に注目を向けてください。鳥に野菜を食べてほしいのであれば、野菜を食べている時に注目を注いであげてください。
騒音を無視する…でもそれが全てではない
雄叫び問題を解決するためには、無視をしなければならないということはみなさんも聞いたことがあると思います。これは真実です。望ましくないと思う音があるなら、それに対して報酬を与えるのをやめなければなりません。ただし、この方法が何らかの影響を与えるためには、取り入れなければならないことが2つあります。
一つ目は、あなたが反応することで、その行動に報酬を与える可能性があるということを理解してください。だから、決して反応しないでください。部屋を出てはいけません。鳥の方を見てはいけません。鳥に水を吹きかけないでください。ケージを布などで覆わないでください。鳥をクローゼットの中に入れないでください。口笛を吹かないでください。視線を動かさないでください。配偶者の鳥だからと言って、配偶者の方に冷たい視線を送らないでください。叫び返さないでください。これらの行動はうまくいきませんし、ただただ自分自身と鳥を疎ましく思うことになるだけです。
あなたがしなければならないことは耳栓を用意することです。いいえ、冗談を言っている訳ではありません。やってみようと思ったら行動に移してください。あなたがある時は反応して、ある時は無視することに成功したとしても、効果を得られることは期待できません。スポーツ用品店などで耳栓を購入することができるでしょう。

二つ目は、単に行動を無視しても問題は決して解決しないということを理解してください。 あなたが叫び声に反応するのをやめると、鳥は単に鳥にとって同じ機能を果たす別の行動を思いつくでしょう。そしてそれは鳥のこれまでの行動よりもさらに楽しめるものではないでしょう。鳥が次にどんな行動をするかを選択させているのはあなただということに気付いてみませんか。
鳥がおしゃべりしたり望ましい声を発した時に、注意を向けたり食べ物のご褒美をあげるということを決めたらどうなるでしょうか。答えは明白です。あなたはより多くのおしゃべりと楽しい声を聞くことになるでしょう。鳥がおもちゃで遊んでいる時に鳥にご褒美を与えることにした場合はどうなると思いますか?鳥がそのおもちゃに飽きがこない限り、よりおもちゃで遊ぶことになるでしょう。
鳥の行動を変えるためには、人の行動を変えなければならない
覚えておいてください。あなたにはパワーがあるということを。鳥の行動を変えるためには、あなた自身の行動を変えなければなりません。雄叫びに対して報酬を与えることを止めてください。代わりに、あなたにとってより許容できる他の行動に対して報酬を与えてください。
報酬を与える(強化する)という方法は重要ですが、タイミングが良くなければなりません。あなたが考える望ましい行動から時間が経ち過ぎてからご褒美をあげると、鳥は行動とご褒美の関連付けができなくなるでしょう。その代わりに、鳥が言葉を話すとすぐに、(ほんの1秒か2秒以内に)すぐに向きを変えて、鳥がはっきりと聞くことができる声で「そうよ!」などと言います。それから、できるだけ早く歩いて、食べ物のご褒美かカキカキなどの鳥が望むものを与えます。食べ物をご褒美として使うつもりなら、それらをポケットに入れて持ち運ぶことですぐに対応できるようにします。たとえ望ましくない音を発した時に間違えて「いいね!」と言ってしまったとしても「いいね!」と言う言葉の後にはご褒美をあげるようにしてください。
静かにしている時に報酬を与えるのではないということも理解してください。「静かであること」は行動ではないので、これに対しては何もしません。代わりに、鳥が実際に行動していることを探してください。
これについて一貫してください。望ましい行動の瞬間を捕らえて、ご褒美をあげてください。あなたの日課をこなしている間に注意を払ってください。それが鳥の行動に注意を払っていることを実践しているかどうかを考えてください。
栄養の影響
鳥に影響を与え、雄叫びをあげる傾向にする他の要因も考えられます。あなたが与える食事が鳥の雄叫びを上げる行動に繋がっているということを知っていましたか。炭水化物と脂肪は鳥にとってより多くのエネルギーを生産する栄養素の2つのカテゴリーです。特に鳥が飛ばなければ、室内で暮らす鳥は過剰な量のエネルギーを必要としません。したがって、シードミックスや多くのナッツ類、または人間のスナック食品を食べる鳥では、より静かにしてもらいたい場合は食事の見直しが必要になるかもしれません。
有り余るエネルギーを使い切るアクティビティーとは
有り余るエネルギーと言えば、水浴びや屋外で過ごすことがあなたの鳥にとって素敵な経験にもなり、雄叫びを上げる行動の改善にもつながるでしょう。鳥は、屋外で過ごした後は私たちがそうであるように同じようにリラックスします。外の安全な囲いの中で過ごした1日は、より静かな鳥を生み出すことに感嘆することでしょう。
同様に、お客様がランチに遊びに来る時に、鳥に静かにしていてもらいたい場合は、その直前に鳥に水浴びをさせてみてください。(これはあなたの鳥が水浴びを楽しむタイプであるということを前提としています。静かになるようにと鳥を怖がらせるという意味ではありません。)朝に鳥に水浴びをさせるようにしてください。濡れた状態で寝かしつけるべきではありません。

鳥は餌探しをしたり、木を齧ったり、叫んだりを同時にすることはできません。したがって、鳥がやるべきことをもっと与えてあげて、エンリッチメントの機会を与えることによって、鳥はより雄叫びを上げる必要がなくなるかもしれません。フォージング(餌探し)のやり方をまだ知らないなら、いくつかの素晴らしい情報源をインターネットで見つけることができます。私のお気に入りのサイトはパロットエンリッチメント(*サイトがなくなっていますが「Parrot enrichment」で検索すると様々なサイトがヒットします)とフォージングフォーパロットです。
あるケースでは、環境を変えることが手助けになることもあります。窓の外の様子を見た時により大声を上げる場合、ケージの位置を動かしてみてください。ケージを動かすことができないなら、ブラインドをおろしてみてください。
孤独感を排除して、ペアの結びつきを変化させる
孤独を感じるとより雄叫びをあげる鳥になるでしょう。鳥は群れと一緒にいたいのです。「鳥部屋」があるなら、鳥たちがその部屋から出て十分な時間を過ごせるようにして、この時間を決めておくことで鳥たちが終わりの時間を予測できるようにします。鳥は、毎日3〜4時間を2回に分けた放鳥がベストでしょう。それよりも少ないとあなたは永遠に大声をあげる鳥と一緒に暮らすというリスクを背負うことになるでしょう。鳥たちが我慢できるのは限られた少しの孤独感だけなのです。
これらの方法に従っていてもまだ改善の兆しが見られないならば、あなたの鳥を永久に鳥部屋から出すことについて考えてみてください。見えたり聞こえたりすることができない行動に対して、報酬を与えることはできません。鳥を常に観察できる暮らしができれば、鳥たちの行動を適切な行動に導くことはずっと容易になります。
あなたの鳥があなたをパートナーとみなしている場合、鳥はおそらくあなたとの時間をもっと必要とするでしょう。鳥があなたの肩に乗るまで鳴き叫ぶならば、鳥があなたのことをもっと友達として見るようになってほしいと願うかもしれません。
肩にのせている時間を減らしながらベタベタと接触をするよりも、鳥があなたの指示を求めてくれるようになるようにいくつかのシンプルなトレーニングを試してみてください。鳥がお気に入りの止まり木に止まってくれることを教えることで、あなたとの身体の接触から離すことができる手助けになるでしょう。

さらなる作戦
予測できる場合は、雄叫びをあげる前にその叫び声を妨ぐ(消す)ことでパターンを破る手助けになることがあります。電話に出たときに鳥が雄叫びを上げる場合は、別の部屋で話してみてください。または、電話をかける前に、鳥が満足いく水浴びをさせてみてください。朝に鳥があなたを目覚めさせるために雄叫びを上げる場合、目覚まし時計をセットして早めに目を覚ますようにしてみてください。私にはあなたが何を言いたいか分かります…でも、鳥と一緒に暮らすことを選んだのはあなたです!鳥たちは夜が明けたときに目覚めるものなのです。
一部の鳥に対して雄叫びを上げる時間を短縮するために有効な作戦がもう一つあります。「短縮」と「一部」を使っていることに注意してください。これはあなたの解決策としては重要な部分ではないかもしれません。なので、計画を実行できない場合でも、心配しないでください。
しかし、あなたが長時間ノンストップで叫ぶ鳥と暮らしている場合は、鳥が鳴き叫ぶことを止まるまで待ってから、すばやく「いいね!」と言って、これに続けてご褒美をあげてください。断続的に叫んで鳴き止む瞬間が短いパターンの鳥には、この介入方法を使用することはできません。ご褒美をあげる前に再び叫び始めてしまうからです。
雄叫びをストップさせるためのチェックリスト

より静かな鳥になることを望むためのチェックリストです。
●雄叫び(またはその他の許容できない音や行動)を100%無視する。
●おしゃべりやその他の許容できる声にはご褒美をあげる。
・即座に「そうよ!」などと言って、素早くご褒美を与える。
●毎日、あるいは二日に一度、新しいエンリッチメントを提供する。特にあなたが鳥に静かにしていてほしいと思う直前に。鳥が破壊できるような好みのものを渡す。
●もし過剰に摂取しているのであれば、食事の中から脂肪や炭水化物を減らす。食事内容を変える時は、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
●エネルギーを使ってもらうために水浴びをさせる。
●屋外(のケージ)で過ごす時間を設ける。
●一日に2回、放鳥タイムを設ける。
●ターゲットトレーニングやステーショニングのような新しい行動を教える。
●もし予測可能なら、雄叫びを上げることを妨げる。クリエイティブになりましょう。
●必要であれば、鳥の視界に入る環境を変えてみる。
注意:鳥の行動を変えるためには、あなた自身を変えなければなりません。実際に、あなたの考えと行動の両方を変えなければなりません。あなたが鳥と接する度に、鳥は学習しています。鳥が何を学ぶかを決めているのはあなたの行動からなのです。
複雑化させる要因
飼い主がこのプログラムに対して二つの問題を抱えています。一つは、雄叫びに取って代わる代替行動に対してご褒美を与え続けることを忘れてしまうことです。一旦少しでも安心してしまうと、問題が解決されたと思いがちです。しかし、あなたの鳥はいつでも再び雄叫びを上げることを選ぶことができます。雄叫びをあげる可能性がある行動の引き金を引いてしまうかもしれません。
なので、一貫性を保つことを忘れないでください。あなたが報酬を与えたいと思う行動を探すようにあなた自身を訓練してください。その行動は時間とともに変化するかもしれませんし、変化しないかもしれません。それらの行動があなたが楽しいという行動である限り、すべて重要となります。飼い主は結局、鳥に注意を向けることになるでしょう。それはあなたが好む行動のためになるかもしれません。
そうすれば、人々が抱える2番目の問題を回避できます。後々、「二度目の」叫び声の問題で複数のクライアントが私の元に戻ってきたことがあります。それは、第二の問題ではなく、ただ単に違う音に関しての相談でした。騒音問題が解決したので、飼い主は鳥が振る舞っていた望ましい行動のすべてに対して報酬を与えることをやめてしまっていました。飼い主は怠け者になってしまったのです。だから、鳥は別の問題となる騒音を思い付いたというわけです。たとえそれが異なる音であったとしても、問題の解決策はもちろん同じでした。
まとめ
あなたはあなたのペットの行動を導かなければなりません。意識的にあなたが望ましいと思う行動を強化し、望ましくないと思う行動を無視することによって、ペットとの暮らしをもっともっと楽しんで、問題ははるかに少なくなるでしょう。新しい行動をトレーニングすることによって、あなたは将来現れるであろう問題行動に対する保険証券を手に入れたようなものです。鳥には学習の機会が必要です。そうでなければ、鳥たちは自ら作り出してしまうでしょう!